ハワイを象徴する「コア」の木
Hawaiian Legacy Hardwoods (HLH)公式サイトより
太平洋のまん中に浮かぶ島・ハワイには、他の大陸と違った固有種や独自の進化をとげた植物が数多く存在します。
古い時代から王族のカヌーや家具などに使われてきた「コア」の木もそのひとつ。
ハワイの人たちはコアの木を神聖な木として大切にしています。
コアの木について
コアの木(学名:Acacia koa)はアカシアの仲間で、ハワイに人が住み着く前から存在していた固有種です。
(もっとも、ハワイ諸島そのものが海底火山の噴火で洋上に生まれた島なので、すべての植物は鳥や海流が運んできた種から育ったもので、広い意味では外来種といえるのかもしれませんが…。)
コアの木は30mくらいの高さになりますが、葉は三日月型で細く、周囲の樹木や草花に日光や雨が行き渡るため「母なる木」とも呼ばれています。
コアの木材は丈夫で、カーリーと呼ばれる木目の模様が美しく、柔らかくて加工もしやすいことから、カヌーや家具、建材などに珍重され、欧米との交流が始まってからは物々交換のために乱伐されて数が激減したと言われています。
さらに、人間が持ち込んだ牛などの家畜や外来種の植物、害虫などによってますます数が減ってしまったため、現在は各島で植樹も行われています。
▼アロハプログラムのコアの木プロジェクト「ハワイ島にコアの木1,000 本植えよう!」
https://www.aloha-program.com/activity/ahupuaa/koa
私たちALOHA LIVINGも2021年にこのプロジェクトに参加し、4月に10本、11月に10本のコアの木をハワイ島に植樹しています。
コロナ禍で残念ながら現地での植樹は叶いませんでしたが、HLRI(主催団体)からの証明書がALOHA LIVINGのカフェの壁に飾ってありますので、お店に来られた時には見てみて下さい。
貴重なコアの木は過去には王族のみが使用を許されていて、1800年代にはカメハメハ4世とエマ王妃の息子アルバート王子のゆりかごや、リリウオカラニ王女のピアノなどコアウッドで作られた家具が残されています。
王族にはサーフィンの名手が多く、サーフボードもコアの木で作られることが多かったといいます。近代になると杉や松など他の木材でもサーフボードが作られるようになりましたが、その中で現在まで壊れずに形を保っているのはコアのものだけだそう。
ジェイク・シマブクロも愛用するウクレレの老舗メーカー「カマカ」でも、コア材のウクレレは最高の外観と音質を誇ります。
今でもハワイの人たちは、神聖な木・コアの伐採時には神に祈りを捧げて許しを得る習慣があります。
ドラマ『ハワイ・ファイブオー』のシーズン10でも、「聖なる木(邦題)」というタイトルで、1本100万円以上もする高級木材の盗難事件を解決するエピソードがありました。
▼「ハワイが舞台のTVドラマ」の記事はこちら
(Coming soon)
コアウッドが使われている建造物や家具
ハワイでは、観光名所やホテルなど色々な場所でコアウッドが使われているのを見ることができます。
イオラニ宮殿(大広間の階段)
引用:イオラニ宮殿 公式ホームページ「Grand Hall」
ハワイ王国の歴史を今に伝えるイオラニ宮殿。
ガイドツアーに参加すると、カラカウア王やリリウオカラニ女王が大広間から階上へと上ったコアの階段を上る体験ができますが、コロナ禍で一時中断となっていましたので、今後行かれるときは最新情報をチェックして下さいね。
ハレクラニホテル
「天国にふさわしい館」として1世紀近くも世界中のセレブに愛され、ワイキキビーチに佇む気品あふれるホテル「ハレクラニ/Halekulani」。
2021年に待望のリニューアルオープンを果たしましたが、コアウッドで作られたフロントデスクは伝統の姿をそのまま残しているそうです。
旅行者がハワイでコアの木を見るなら
ハワイの人々が大切にしているコアウッド。製品(木材)になる前の、森の中に生えているときはどんな木なのか見てみたくありませんか?
コアの木の数はハワイ島がもっとも多く、オアフ島の街中ではなかなか見ることができませんが、ワイキキから車で15分ほどのマノアにハワイ大学が運営する『ハロルド・L・ライアン演習林』(旧マノア植物園)の「ネイティブ・ハワイアン・ガーデン」では、コアの木をはじめ、オアフ島の花であるイリマ、ハワイ島の花レフアなどさまざまなハワイ固有種の植物が見られます。
Lyon Arboretum(ライアン演習林):Instagram
コアウッドを手元に置くなら
貴重な資源であるコアウッド。大物の家具などはかなり高価になりますが、ウクレレ、ボールペンや万年筆などステーショナリー、指輪やブレスレットといったアクセサリーなどは専門店やセレクトショップで手に入ります。
コアウッドの専門店「マーティン&マッカーサー(martin&macarthur)」では、自然に倒れたコアの木から採取した木材のみを使っているそう。
Martin&MacArthur(マーティン&マッカーサー):Instagram
また昔からハワイに住む個人の敷地内にあるコアの木は、子どもの学費や結婚でまとまったお金がいるときに木材にして売りに出されたりするそうです。日本の林業家さんと同じですね。
等級の高い木材が市場に出ると、世界中の楽器・家具・工芸品のメーカー担当者が大急ぎでハワイに集まってくることもあるとか。
もし、正規ルートで作られたコアウッドの小物をハワイで見つけたら、ぜひ手に入れてみてはいかがでしょう。
その深い色合いや木目を眺めていると、古代ハワイのカヌーが海原を進む風景など、ハワイの歴史を身近に感じられるかもしれません。
▼ショールーム&カフェへもぜひお越し下さい
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