ハワイの医療費と保険制度
皆さんは、海外で体調が悪くなったり、ケガをしてしまったりしたことはありませんか?
ハワイでは日本語が通じるお店や施設も多く、いざとなったらなんとかなる…というイメージがあるかもしれませんね。
しかし、ハワイを含むアメリカの医療保険制度は日本とは大きく異なるため、備えをしていないと思わぬ高額な医療費がかかってしまう可能性もあります。
今回は、ハワイへ旅するときの医療保険の加入のポイントや、ロングステイ・ハワイ移住にあたっての保険加入はどうするのかなどについて紹介します。
日本とアメリカの医療保険の違い
ハワイはアメリカの一州。病気やケガをしたら、基本的にはアメリカの保険制度に準じて治療を受けます。
ただし、日本とアメリカでは保険制度が大きく異なります。
日本ではすべての人が公的医療保険に加入することが義務付けられています。保険料は所得に応じて決まり、医療費の自己負担は3割まで。高齢者や子供は無料や低額になります。また「高額療養費支給制度」によって、大きな病気や手術をしても自己負担額は最大25万円程度で済みます。
一方、アメリカでは民間保険が中心で、高齢者向けの「メディケア」や低所得者向けの「メディケイド」など、公的保険はごく一部。ハワイ州では独自の「プリペイド・ヘルスケア法」があり、基本的には勤め先で保険に入れるようになっていますが、保険の種類によって補償内容には幅があります。
さらに、日本では医療機関を選んで自由に受診できますが、ハワイ(アメリカ)では加入している保険プランによって受診できる医療機関が限られていることも多く、「ホームドクター」を受診してからでないと専門医を受診することもできません。
また、ハワイではほとんどの医療機関が予約制です。予約なしの受診が可能な場合でも、長時間待つことは覚悟しておかなくてはならないんです。
ハワイは全米一医療費が安い!でも…
実は、ハワイ州はアメリカの中で「最も医療費が安い州」として知られていて、会社の保険に入っている人の負担額は全米平均の半分以下だそう。
健康保険の加入率も高く、2021年には成人で約95%が加入しています。全米平均88%、テキサス州(約75%)等と比べると多くの人が健康保険を利用できていることが分かります。
とはいえ、そこはアメリカ。日本の医療費とは比べものにならず、だいたい「ゼロが1つ多い」レベルと思っておくとよいでしょう。
- 初診料:日本2,000〜3,000円/ハワイ2〜5万円
- 入院費用(1日あたり):日本2〜3万円/ハワイ25〜35万円(ICUは約80万円)
- 救急車:日本無料/ハワイ8万円
- 虫垂炎(盲腸)手術:日本10万円(※高額療養費制度を利用)/ハワイ300万円
上記は一例で、そのときの症状や医療機関によって異なりますが、おおむね10倍は必要です。円安のときはさらに高額になってしまいますね。
ハワイのロングステイ・移住で保険はどうする?
ハワイに限らず、海外旅行では必ず保険に入っておきたいもの。
クレジットカード付帯の保険だけでは、上記のような「盲腸の手術300万円」などがカバーできないものもあるので、海外旅行専用の保険をかけておくのが安心ですね。
「ロングステイを計画しているんだけど…」という方も、観光ビザの範囲内(6ヶ月未満)なら、一般的な海外旅行保険に入れることが多いです。
海外旅行保険のサイトを見てみると、加入期間の上限が「90日まで」というプランが一般的ですが、最長2年まで設定できるプランも比較的多く見かけます。
これらの海外旅行保険は、出国してしまうと加入できなくなるので、必ず出発までに手続きを済ませておいてくださいね。
ロングステイの場合、持病のある方は医師の診断書や処方箋の英語版を用意しておいたり、滞在先近くの日本語対応可能な医療機関をあらかじめリストアップしておくこともおすすめします。
一方、グリーンカードや市民権を取得してハワイに移住する場合は、ハワイ(アメリカ)の医療保険に加入することになります。
65歳以上の方であれば、基本的にはアメリカの公的健康保険「メディケア」に加入できます。
それ以外の場合は民間の保険会社がいくつかあるので個人で加入します。ハワイの企業で働く場合は、勤務先で加入できることも多いでしょう。
なんらかの事情で働けなくなり収入が減ってしまったような時は、低収入者向けの公的保険「メディケイド」に申請し、認められれば加入できます。
ハワイに行くと、気持ちのいい気候と人々の笑顔に癒やされ、医療どころか体調がよくなる人の方が多いかもしれません。
とはいえやはり海外ではふだんと環境が大きく変わります。長時間のフライト・時差や食べ物の変化・交通事故など、いつ誰が病院のお世話になってもおかしくないため、保険や医療については出発前にしっかり備えておきたいですね!