ハワイの”レイ”の意味
ハワイの空港の団体出口から出た瞬間や、ホテルのフロントでチェックインするときに、首に花や木の実・貝殻などをつないだ”レイ”をかけてもらった経験のある方は多いのではないでしょうか。
ハワイの人々にとって、レイは単なるアクセサリーではなく、人生の節目や記念日に「歓迎」「祝福」「感謝」「尊敬」などを込めて贈り合います。
ハワイ語の「レイ」にはいくつもの意味があり、見たままの「花輪」のほかにも「絆」「大切な人」なども表しています。今回は、さらにそれぞれの素材やシーンごとの意味を紹介していきます。
レイの素材が持つ意味
レイは1000年以上前にポリネシアから魔除けやお守りとして持ち込まれ、ハワイのカルチャーに深く根付いています。自然のゆたかなハワイでは、植物や貝殻など自然の中にある美しい素材を集めてさまざまなレイが作られてきました。
花のレイ
ハワイと言われてイメージするのは「ハイビスカス」「ブーゲンビリア」でしょうか?しかしこれらの花は、実はは花びらが薄くすぐしおれてしまうので生花のレイには向いていません。自宅の庭でその場でレイを作って身につけるなら別ですが、旅行ではABCストアの造花のレイでしか出会えないかもしれませんね。
皆さんがハワイで一番よく見かけるのは、白と紫の花びらのデンファレやプルメリアのレイではないでしょうか。
プルメリアのレイには相手の幸せを願う意味が込められているため、ハワイを訪れた人への贈り物としてもぴったりですね。
「オアフ島の花」、黄色い「イリマ」のレイは、その小さい花びらを1,000枚ほども重ねて作るため、昔は王族しか身につけることができない高価なものでした。現在でもやや高価ですがショップで手に入ります。ただし「霊が集まってくる」という言い伝えもあるそうなので、夜に1人で身につけて歩かない方がいいかもしれません(?)
木の実のレイ
フラの男性ダンサーが身につけている、ツヤツヤとした茶色や黒の実のレイを見たことがある方もいるのではないでしょうか。この実はククイという木の実で、油分が多く含まれているため、昔のハワイではロウソクがわりに使われていたそうです。
そのためでしょうか、ククイナッツのレイには「光をもたらす」という意味があります。
そのほかの素材のレイ
ハワイの自然から得た素材としては、貝殻で作られたシェル・レイや鳥の羽で作られたレイ、鯨やサメの歯で作られたレイなどがあり、ビショップ博物館にもかつて王族の使っていたこれらのレイが展示されています。
シェルレイには「賞賛」「栄誉」などの意味があり、生花と異なり長持ちするので、受賞記念など大きな式典などで贈られたり、男女問わずジュエリーとして身につけることも多いようです。
なかでもニイハウ島でしか採れない「ニイハウ・シェル」で作られたレイやアクセサリーは最高級の真珠と同等の希少な宝飾品とされています。
さらに1990年代頃からは、ハワイの限りある自然を守ろうというムーブメントが起こり、さまざまな色のリボンを編んだ「リボンレイ」も生まれました。日本でフラをする方にとっては、寒い冬など花が手に入りにくい季節でも色鮮やかなレイが身につけられるのも良い点ですね。
冠婚葬祭・儀式とレイの関係
常夏のハワイでは、多少時期はあるものの一年中花が咲きレイが手に入りますが、もっともレイが売れるのは「母の日」、中高や大学の卒業シーズン、そして5月1日の「レイ・デー(Lei Day)」といわれます。
ハワイ以外では5月1日は労働者の祭典「メーデー」ですが、ハワイだけはレイの祭典となっていて、レイのできばえを競うコンテストが開催されたり、ペットのワンちゃんもレイをかけていたり、イオラニ宮殿前にあるカメハメハ大王像の両手に数メートルもある長いレイがたくさんかけられたり…といった風景が見られるのも面白いですね。
卒業式でも、式典が終わった後には家族や親戚・友人・後輩たちによる「レイギビング」の時間が設けられ、卒業生たちは顔が見えなくなるほどたくさんのレイをかけてもらいます。
花のレイだけでなくお祝いをこめたお金のレイだったり、お菓子をつなげた「キャンディ・レイ」もよく贈られます。
余談ですが、この卒業式にキャンディ・レイを贈る習慣は、沖縄でもポピュラーなようですよ。最近は野菜をレイにしたものまであるとか(笑)。
ハワイローカルの結婚式では、花嫁はピカケ(ジャスミンの花)のつぼみをビーズのようにつないだレイ、花婿はマイレの葉を輪にせず首に垂らすタイプのレイを身につけたり、「ハクレイ」または「レイポオ」と呼ばれる花輪を頭に飾ったりします。
一方、お葬式は日本のように決まった花があるわけではなく、色とりどりのレイをかける人もいれば、お葬式ではレイはかけない、海に散骨するときにレイをともに投げ込む…など地域や家族によって風習が異なるようです。
レイのマナーと扱い方
レイには基本的に「愛や思いやりを贈る」という意味合いがあります。「アロハ」を形にしたものと言ってもいいかもしれません。
プレゼントするときは、相手の首にかけて軽くハグをするのが伝統的な作法とされています。
また、もらったレイを相手の目の前で外したり、他の人にかけたりするのはタブーなので、ハワイ到着時やイベントなどでレイをかけてもらって「浮かれた観光客みたいで気恥ずかしいな」と思っても、ホテルの部屋に戻るまでは外さないことをおすすめします。
日本にレイを持ち帰るときは空港の植物検疫へ申請する必要があり、花の種類によっては没収されてしまう可能性もあります。
とはいえ、レイをホテルの部屋のゴミ箱に捨てて帰るのはNG。できるだけ自然に返すことが推奨されていますが、ビーチや海に投げ込むのはためらわれる…という場合、テーブルの上などにきれいに置いて帰ると良いですね。
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